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2001/02/25: "バッサーは正しい?"
最近のバス釣の人たちの言い分を聞いていると、少なくともC&Rに関しては彼らの方が正しいのではないかと思い始めています。
バスは食う魚ではない、と言うことでリリースされるんでしょうか? 今日、テレビで語っていた若いバッサーが「リリースすれば、また釣れるでしょう。」と言っていたことは正しいですよね。
要するに、釣った魚を「食うか、食わないか」ってことなんでしょうが。
返答: コメント6通
シンポジウムに行ってきましたので、簡単にご報告します。肩の力を抜いて読んでみてください。以前の書き込みにもありましたが、出席者は以下の方で、瀬能さんは不参加のようでした。
自分は講堂に入りきれず、別の教室のプロジェクターからの傍聴となりました。
コーディネーター:
日釣振(擁護)側:天野礼子(アウトドア・ライター)
生多研(反対)側:瀬能 宏(神奈川県立生命の星・地球博物館)
パネリスト:
日釣振(擁護)側:清水國明(タレント/自然暮らしの会)
高宮俊諦(日本釣振興会)
水口憲哉(東京水産大学)
生多研(反対)側:秋月岩魚(写真家)
かくまつとむ(ネイチャー・ジャーナリスト)
中井克樹(滋賀県立琵琶湖
それぞれの主張をなるべく全て書きます。
高宮さん:
バスフィッシングは風雨にさらされ体力をきたえ、面白い。来年度以降小中学校で導入される総合学習時間において、学校から依頼があれば協力したい。
バス愛好家の数パーセントが移放流に関わっているようだ。
現状はバスがすでに存在するんだから、それを利用したい。
バスの移放流が禁止されていることは、うちの職員は3,4年前にやっと知るようになった。
バスの拡大は移放流だけでない。いろんな要因がある。
清水さん:
漁協の方に迷惑をかける自分勝手な釣りはだめ。密放流はだめだ。だけど僕らにも自分の釣りを主張する権利がある。ゾーニングで管理を徹底し、バス釣りをしたい。
水口さん:
地域の人がバスとのかかわり方を決めて、管理を徹底すれば、バスが日本列島にいてもいいと思う。
ゾーニング案を規定することにより、バスがいてほしくない所には、法律により駆除の予算が出る。少なくとも今の状態を維持でき、これ以上悪くなることはない。前面駆除を唱えてばかりいたら、実行するまで何年かかるか分からない。タバコの問題と似ている。体に悪くて、この世からなくしたいと思っている人はいっぱいいる。だけど場所を決めたりしてなんとかやっている。麻薬とかね。そうやって前進していくほうが重要だ。
琵琶湖のバス・ギルは駆除すべき(職漁師の方の質問に答えて)。
新漁業法では漁業権のないダムや野池を地域で管理できるようにしたい。そういう所をバスポンドにして子供に管理させる。ポンドを維持するには餌を大量にいれる必要があり、そうしないとすぐ共食いしてバスは減ってしまう。そういうことを自分でやらせてバス釣りの空しさ、寂しさ、芦ノ湖や河口湖でパスを維持するのにいかに大量の餌が投入されているかなどが分かる。それによりバス釣りから離れていくかもしれない。
キャッチ&リリースなんてのは、毎回一割づつ殺してるんだし、あんなもの自然にやさしいなんてうそだ。釣り人のエゴでしかない。
天野さん:
現在の河川環境が悪化したのをすべてバスのせいにするのはおかしい。公共事業や鮎の冷水病等々、問題はたくさんある。
秋月さん:
生物を殺すことにより、子供は生命の尊さを学ぶ。バスのキャッチ&リリースには反対だ。
ゾーニングを行い、公設釣り場を決めても、密放流を取り締まることは不可能である。全面駆除しかない。
われわれは最初、これは在来魚とバスのみの問題として捕らえていたが、日本生態学会、日本トンボ学会、日本鞘翔学会等、いろんなところでバスが問題となっていることが分かった。
かくまさん:
私の聞き取り調査によると、バスの密放流はショップにより組織的に行われている。名前は出せないが、ショップの方から直接いくつか手口を聞いている。
日釣振では、1989年の段階で近畿支部がバスの駆除を支部会で決議しているのに、ここになって何で擁護なんだ?
中井さん:
地域でバスを受け入れるか入れないかを決める決めないに関わらず、既成の事として、バスがいるという事実が出来てしまっている。管理なんて出来ない。
河川環境の悪化にはさまざまな要因があるのはわかるが、(以下会場がざわついて聞き取れなかった等々。)
云々
会場から::::
琵琶湖の職漁師:清水さんは雑誌で、河口湖の例を出し、バスが増えたところは職漁師の方は遊漁に職を替えて食っていくことも出来るという記事を書いていますが、私はオトンもオジンもずっと琵琶湖で漁をしてきて、はっきり言ってバスは害魚ですよ。あんた職漁師をなめとんのか。
ーー>清水:なめてはいません。そういう例えを書いただけです。
近大教授(元水産官僚):
今日のシンポでは、いかに名もない日本の在来魚が重要かという視点が欠けていた。確かにバスにのみ問題を集中してはいけないが、外来魚の問題点をあらいざらい調べるには100年はかかるし、それでも結論ははっきり出ないかもしれない。ということは生物多様性を維持する立場からは、バスはいてはいけないと思う。
バスフィッシングをする子供の母:
今日は小学生の子供の保護者として一緒に来た。
バスがマスメディアの流れに乗り、かっこいいこととして子供に無条件に受け入れられてきたこと、そして生物に非常に影響を与えていることが分かった。ブラックバスがこんなにも問題がある魚だとは思ってなかった。
大学生バサー:
職漁師のお話を聞いてとてもつらかった。でも、例えば釣りなんて出来ないような都会の一角などで、バス釣りを出来るようにして欲しい。
面白かったのは、バス擁護派で参加していた水口先生が、実はバスは嫌いなんだけど、ゾーニングしないと現実問題解決しないじゃない、というスタンスだったことです。この発言により、日釣振の方は言葉少なくなってしまいました。
あとは、天野さんがバス以外にいろいろ河川を取り巻く問題はあるのよ、バスはスケープゴートにされているんだわということを強調されていました。が、今回のシンポは、いろいろある河川問題の中でも特にバスに関する問題を取り扱うものだったので、その点を集中して議論するということを事前に合意していなかったようでした。最後には天野さんも立場がなくなりつらそうでした。「こんな仕事をして、私はぜんぜんいいことなんてないんですよ」と最後は中立の立場になってしまいました。
atsushi tanaka さんからの 2001/02/25 07:55 PM JST のコメント
田中さん、貴重なレポートをありがとうございます。
やはりバスを擁護する根拠はかなり薄弱なんじゃないか、ということがよくわかります。
Hiroyuki Yaginuma さんからの 2001/02/26 12:58 AM JST のコメント
土曜日のシンポジウムは後半からの参加でしたので、前半部分に、多分、バスがいかに生態に影響を与えているのかという話があったはずです。そちらが抜けているので、いまいち納得できない報告ですが、ご了承ください。
atsushi tanaka さんからの 2001/02/26 02:29 PM JST のコメント
北海道でもこのシンポジウムは取り上げられていました。北海道新聞には、北海道へのブラックバス進出を危惧する声が高まっていると締めくくっていました。ブラックバスに限らず、生態系に与える影響を語ってしまうと、バスに限らず放流自体を止めるのが一番、または釣り自体を止めるなんて結論になってしまうでしょうから、この問題は奥が深いですね。
田中さんのリポートでパネラーの方々の考え方が良く分かり、大いに参考になりました。
それにしてもキャッチ&リリースが意味が無い。釣り人のエゴでしかない。結構きつい言葉ですね。
これだって釣りというレジャーを考えると、やらないよりは良いと思うんですが・・・。
それに釣具屋さんは、めちゃくちゃですね。もう先の事など見えてないんでしょうね。僕も北海道に住んでる釣り人として今後に注目していきたいと思っています。
Michihiro Yamamoto さんからの 2001/02/27 08:10 AM JST のコメント
キャッチ&リリースについては、意味がないとまでは言っていません。。。何と言うか、その場面ではバスのことに特化してキャッチ&リリースの話をしていたように感じました。シンポ自体もバス(とギル)のことでしたから、水口さんも、それ以上に解釈されると困ってしまうかもしれません。
atsushi tanaka さんからの 2001/02/28 03:13 PM JST のコメント
ちょっと過激に反応しすぎました。スイマセン!
水口先生は雑誌などでよく記事を拝見していますので、その辺は分かっているつもりです。
今後もこの手の問題は多く取り上げられると思いますが、多くの方のご意見をお聞きしたいものですね。
Michihiro Yamamoto さんからの 2001/02/28 07:56 PM JST のコメント