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2004/02/11: "大井沢に暮らす特権"
今日の好天は、まさに大井沢に暮らしているからこそ享受できる特権です。
朝6時半、枕の冷たさで目が覚めました。
枕もとのカーテンを開けても窓には氷の結晶が張り付いていて、外の景色が曇ったように見えます。
寒さを我慢して何とか起き出し、居間のカーテンを開けると完全無欠の青空を背景に純白の月山が光っていました。
朝日に輝く月山や川辺や山の木々の霧氷を見せたくて、妻を大声で呼び起こし、「写真を撮ってくるから。」と言い残して完全武装で家を出たのですが、あまりの寒さに後悔しました。
外の気温は−18℃。 この冬一番の冷え込み、しかも明け方になって急激に気温が下がったようです。
大井沢川沿いの林道を、狐の足跡を追うように歩いていると、フリースのジャケットの襟にかかる息がたちまち凍りつきます。 少しでも濡れたものは全て凍り、凍ったものは何も溶けません。 デジカメも頻繁に作動しなくなるので、セーターの下に入れて暖めなければなりませんでした。
雪の表面5cmほどは砂糖菓子のように固まっていて、カンジキで氷を割るようにして歩きます。 柔らかな雪よりもずっと歩きにくく疲れます。
妻は朝日に光る霧氷を見ながら、「何時間くらいもつんだろう?」としきりに気にしています。
山形のヒロコさんに電話して、至急見に来るように誘いたいとのこと。 しかし、太陽が昇ったとたんに木の枝に付いた霧氷は細かな雲母の破片のようになって、地表の雪の上に降り注いでしまいます。
先日の悪天候の折りに我が家に滞在していた姉夫婦にも、山形のヒロコさんにも今朝の風景を見せられませんでしたが、それはそれで仕方のないことです。
これは大井沢で暮らしている人間だけの特権です。 その大井沢に暮らしていても、今朝の風景を見過ごした人たちは居るはずです。
午後には曇り始め、3時過ぎには月山も朝日の山々も雲に隠されてしまいました。