[前の記事: "吹雪、吹雪・・・晴れ、吹雪、吹雪・・・"] [新着記事一覧に戻る] [次の記事: "この冬一番の雪"]
2010/01/12: "千の風になんてならないで下さい。"
2、3日前、NHKのBS2の歌番組で、新井満氏の名曲「千の風になって」を歌っているテノール歌手が居ました。
その歌詞もメロディーも、そして浪々とした歌唱法も、全てが今更ながらにただただ空々しくて嘘っぽく、この歌は彼の芥川賞作家が作り出した薄っぺらなお涙頂戴の世界に過ぎないことが良く分かります。
愛して止まなかった長兄が死にました。
彼の墓の前で、私は号泣することでしょう。
父母や先に死んだ次兄と一緒に、ノンビリとそこに眠っていて欲しいと願っています。
いつか私が行って「兄貴は?」と聞いたときに、両親が「生前からの悪い癖で、風になったり、光になったりしてちっとも墓に落ち着いて居ない。」などと言われるのは不本意です。 眠っている皆を叩き起こして、一緒に飲もうと思って持参した山形の大吟醸を一人で飲むことになります。
妻がふと言っていました。
「お義兄さんて、いつも正座をしていてあぐらをかいているのを見たことが無い。」
言われてみればそうでした。
正座して杯を干しながら政治談議をする長兄と、すぐに酔ってしまってトロトロとしながらモーツアルトやベートーベンを語る次兄、そして一滴の酒も飲まずにアインシュタインやフロイトの矛盾を論じる父と一緒に、ゲラゲラと大笑いをしながら墓石の下で酒を飲もうと思っています。 母は、そんな馬鹿話に興じる馬鹿な男たちに呆れ、グタグタと愚痴を言いながらも、こまごまとした手料理を作ってくれることでしょう。
生と死は表裏一体。 その違いは生きて会えるか、死後に会うかの違いだけ。
でも、決定的な違いですね。
(そうそう、山形では墓石や仏壇の初売りをテレビでしきりに宣伝しています。 こんなものを初売りで売買する理由が分かりません。 初売りで買えば縁起がいいのかも知れませんけど・・・。 仏壇専門店のTVコマーシャルでは、座敷わらしみたいなちょっと気味の悪い幼児が登場して、「オジイチャン、オバアチャン、ボクんちに買いに来てね。」などと叫びます。 このコマーシャルを見る度に、オジイチャンやオバアチャンは誰のために仏壇を買うんだろうと興味が沸きます。)