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2010/02/22: "朝日新聞「百年読書会」の「オーパ!」を読む。"
朝日新聞の読書欄に連載で掲載されているコラム「百年読書会」が、2月の本として開高健の「オーパ!」を取り上げていました。
釣をしない読書家がどんな風に読むのか、釣をする読書家が何を読み取るのかに興味があって、読み飛ばす程度に毎回読んでいました。
意外だったのは、釣り愛好家からの投書が無かったこと。 釣師は本を読まないのか、朝日新聞を読まないのか、投稿しても取り上げられなかったのか、それともわざわざ投稿をする気にもなれなかったのか・・・。
このコラムを担当している重松清なる作家(らしい)が釣をする人かどうかは知らないけど、「コピーライターとしての開高健の名作<人間らしくやりたいな>の精神は本書にも息づいているのかもしれない。」だなんて、やはり分かってないんだろうなあ。
アマゾンでの釣が終わって帰国する日の空港で、著者は「一瞬で私は滅形し、なじみ深い、荒寥とした、いいようのない憂鬱がたちこめてくる。 これからはもう犯されるままに私は形を失い、澱んで腐った潮溜まりとなって日々をやりすごしてゆくのである。」といった心理状態になっちゃうわけで、集英社文庫236ページの中ほどに書かれたこの2行半を読めば、彼の釣がどんなものなのか分かってしまったような気になります。 それに、彼の釣にはどこかにベトナム戦争での体験を引きずっているような気配を感じることがあります。
昔の私にも週末の釣行だけを考えることで日々をやりすごしていた時期があったし、ロッドケースを抱えながら暗澹たる気持ちで帰りの空港ロビーに座っていたこともあります。