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2011/04/07: "沈黙の春、そして猿も居ない惑星へ"
今年の雪解けは例年に無く遅くて、いつもなら日当たりのいい山の斜面などで咲き始めているはずのマンサクも福寿草も、カタクリの花も全く見当たりません。
昨日の朝は−7℃、日中は+13℃と気温差が20℃もありました。 それでも、残雪の深さはまだ2mを超えています。
野鳥の声もほとんど聞くことが無くて、まるで沈黙の春です。
ドナルド・キーン氏が朝日新聞のインタビューで、「<人知をもってすれば天災も抑えることができる。>という欧米流の科学的確信には疑いを覚える。」と語っています。 当然です。 プレートの移動を人間の技術で止めることが出来るなんて、有り得ません。
今回の福島原子力発電所の事故では、あまりにも沢山のことが起きて、頭の中が闇鍋状態になっています。
「原発の<安全神話>が崩れた。」と言います。
安全神話なるものは、絶対的に危険なことが誰にでも分かっているものに対する仮説に過ぎない訳で、そういう意味では、大量の旅客を載せて時速300km超で走るような新幹線だって、その基本には大惨事を内包しながら走っていることになります。
で、神話が神話であるためには、その神話を作り出す人たちと、その神話を信じたい人たちが居る訳で、原発の立地を受け入れた地方自治体の人たちなんてのは、この「信じたい人たち」の中でもかなり積極的に信じたがった人たちなんでしょう。
世界中にどれほどの原子力発電所が稼動しているのか・・・多分、数百箇所になるんでしょう。
もはや後戻りはできないんでしょうか? 原子エネルギー無しには、人類の生活も経済活動も成り立たなくなっているんでしょうか?
今の消費ペースで行けば、世界の化石燃料は数十年で尽きるとの予測もあります。
あるいは、現在の技術で地球温暖化を防止するためには原子エネルギー意外には選択肢が無いとも言われます。
本当にそうだとすれば、我々の選択肢は二つだけです。
選択肢(1): 原子エネルギーに依存し、必ず起こるであろう原発事故と、それによる放射能汚染をあえて受け入れ、100年後には地球を人類はもちろんのこと、猿も住んでいない惑星にする。 そうなった時には熱狂的な自然保護者たちは欣喜雀躍ってことになるんでしょうけど、その頃には彼らも居ないんでしょうね。
選択肢(2): 原子エネルギーを今すぐに放棄し、我々の生活も経済活動もスローダウンする。 もし、今の電力消費量の25%か30%をカットすれば、原発無しでもやっていけるんだとしたら、25%や30%の不便度は我慢してもいいんじゃないかなあ。
もっとも、<安全神話>など必要も無いほどに安全な代替えエネルギーが登場するんでしたら、そんなに幸せなことは無いでしょうけど。
いずれにしても、私たちは今まで進んできた道に対して真摯に疑問を持ち、これから私たちの進む方向を真剣に考え直さなければならない所まで来てしまっているのかもしれない。 もう少しだけ謙虚に、もう少しだけ不便に生きてもいいと思う。
ま、私の人生なんて、残すところせいぜい10年か20年だし、飼い犬の命もそんなものでしょうから、その後のことなんてのはどうでもいいんですけどね。