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2011/04/23: "安らかに眠って下さい でも、過ちは繰り返しますから・・・"
今朝の朝日新聞には、恐ろしい記事がいくつも載っていて、ひどく暗い気持ちになっています。
原発を抱える北海道、福井、島根、佐賀ではいずれも原発容認の知事候補が選ばれたとか。
しかも、15基もの原発がある福井県では原発容認候補が圧倒的(次点の4.5倍の得票)な支持を得たそうです。
現在進行形で起きている福島県での悲劇は対岸の火事に過ぎないらしい。
福島県と福島原発が立地している地元に落ちた国からの交付金や地方税は、これまでに2,400億円にもなるそうです。
これは、名目はどうあれ、「危険手当」ですよね。
小沢遼子氏は、「賠償金の前払いという意見もあるけど・・・」などと自分の本音を言ってしまっていたけど。
福島県だって、地元行政だって、そして地元の住民たちだって、そのくらいの理解力は有ったはずです。
ま、世間一般の意見としては無知蒙昧の無辜の民を、官民一体になって騙したということなんだろうけど、騙された方も騙されていることを意識していたに違いありません。 だって、鎌倉以来、百戦錬磨の百姓、漁民、町民ですよ。 世に言われるほどに純朴でもないし、もちろん馬鹿でもありません。 転んでも只じゃ起きませんね。
それはそれとして、福島県もそうだったけど、福井も島根も、そして北海道も佐賀も、将来のリスクよりは目の前の大金を選んだということでしょう。 もし、万が一・・・というよりは十が一くらいかな・・・何かが起きたとしても、電力会社と国からの膨大な賠償金が期待できるし・・・。
ふと、「セルフ・ジェノサイド」とか「セルフ・ホロコースト」などという言葉が脳裏をかすめます。
さらに絶望的な記事がありました。
「東日本大震災の衝撃 専門家に聞く」というコラムで、京都大原子炉実験所助教 今中哲二という方が、チェルノブイリ原発事故を例に引きながら、
「日本でもこれから汚染が続く。 残念ながら、放射能と共存するしかない時代に入ったのだ。」
と断言しています。
津波で跡形も無く破壊された自宅跡に仮設住宅を建てて住み始めた人がいるそうです。
津波被災者の多くが、以前に暮らしていた地区に戻りたいと希望しているそうです。 歴史上、壊滅的な被害を何度も経験してきた場所に住みたいと言うんです。
今回の被災者たちが、25兆円もの国家財源を食いつぶして元の場所に家を建て、町や村を再建し、高さ20mの防潮堤を建設して暮らし始めたその後に、さらに「想定外」の地震と津波で今回同様の被害を受けたときには、それでも彼らは「被害者」なんだろうか?
そして、その時もまた、国民一人当たり数十万円もの負担をしなければならないんだろうか?
ふと、開高健の「パニック」を思い出しました。
どうやら、私たち日本人は自分たちの子孫を滅亡させ、自分たちの意思で自分たちの歴史や文化を消滅させようとそうとしているらしい。
3月11日に私たちが経験し、そしてその後にも経験していることって、何なんでしょうねえ・・・。
やっぱり人は学ばないらしい。
だからこそ、政府の高い危機管理能力と強力なリーダーシップが必要になんだろうけど、それも期待できないし・・・。
せめて、津波被災地の人たちが、「もう、二度と元の被災地には戻りません。」とでも言ってくれれば救いがあるんだけどなあ。
広島の原爆記念公園の碑文には、「安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから」と刻まれているらしい。
諦めて眠りましょう。 どうせ過ちは繰り返すんですから・・・。 安らかには眠れないけどね。