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2010/04/12: "暗い月曜日"
暖かな日が続いて、すっかり春めいていたのに、今日は一転して朝から雪。
気温も1℃にもならず、暗くて寒い月曜日です。
しきりに散歩をせがむ飼い犬を無視し、ベッドに潜り込んで井伏鱒二を読んでいます。
「春さん蛸のぶつ切りをくれえ
それも塩でくれえ
酒はあついのがよい
それから枝豆を一皿・・・」
なんて、朝から熱燗が飲みたくなります。
私は井伏鱒二が大好きで、彼の「川釣り」という短編集は特に好きなんだけど、「山椒魚」がどうして名作と言われるのか、よくわからない。 この短編は、おそらくは作者自身の自虐的な心象風景なんでしょうね。 でも、一般の読者は、この岩屋に閉じ込められた両生類に、暗くて八方塞りな自分の人生でも重ね合わせて、心癒されながら読むんだろうか?
それよりは、
「われら万障くりあわせ
よしの屋で独り酒をのむ」
方がずっといいなあ。
この詩には、(新橋よしの屋にて)とあるけど、今でもこの店はあるのかな。 いかにも新橋烏森的な雰囲気が伝わってきて、とてもしみじみしちゃいますね。 そうだ、こんど東京へ行ったら、新橋の「和楽」にでも行って、「鮑のぶつ切りでもくれえ、それも塩でくれえ」とでも言ってみよう。