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2010/07/05: "太平の眠りを覚ます不如帰 たった一羽で夜も眠れず"
夜になると、近くの田んぼで鳴くクイナの声がうるさくて、なかなか寝付けないことがあります。
ホトトギズは、夜中の2時、3時から「特許許可局」と騒ぎ立てるので、その騒々しさと早口言葉の繰り返しが気になって、すっかり目が覚めてしまったりします。
不如帰と書けば、これは血を吐くまで鳴き続けて死ぬ鳥だってんで、徳富蘆花が小説の題名にしたそうだけど、ホトトギスってことになると「てっぺんかけたか」などとすっとぼけて見たり、私の故郷では「ポッとおっつぁけたぁ!」などと鳴きます。
「おっつぁける」と言うのは、福島県郡山地方の方言で、「割ける」とか「破れる」の意味ですね。
私の父が、祖母から聞いた話だと言って教えてくれたのは、「昔、意地悪な姉が、自分の好物を弟が食べちゃったんじゃないかと疑って、弟の腹を包丁で割いて調べちゃったんだそうです。 ところが、弟のお腹の中には何も無くて、罰(ばち)が当たった姉はホトトギスになって、今でも(弟のお腹が)<ポッとおっ割けたぁ!>と鳴いている。」んだそうです。
(で、この話の人間関係はかなり複雑で、この弟は実は継母の連れ子だったんだけど、素直でとてもいい子だったらしい。 それに反して、継母はかなり嫌味で根性の曲がった女だったらしく、先妻の娘である姉をひどくいじめていたんだそうです。 そんな訳で、この娘も性格がすっかり悪くなって、義理の弟に八つ当たりしていたらしいんです。 それにしても、やることが極端すぎますよね。)
血を吐いたり腹を割いたり、ホトトギスの鳴き声には、昔の人たちに、残酷で血なまぐさいものを感じさせるような何かがあるんでしょうか。 まだ夜も明けないうちから日が暮れるまで、ただひたすら大声で鳴き続けることから、そんなイメージが出来てしまったのかも知れません。
鳥の声にも困ったもんですが、大井沢ではそろそろ、蛍の光が明るすぎてカーテンを閉じていても眠れなかったり、夜道でもサングラスが必要になります。