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2009/06/20: "ハゲタカ・・・OhareからNaritaへ"
今朝の朝日新聞を読んでいたら、文化面に映画「ハゲタカ」の紹介が出ていました。
以前に放映されたNHKドラマの続編なんだそうですが、そんなことはどうでもよくて、私はふと開高健の「戦場の博物誌」を思い出しました。
開高氏はその冒頭で、ハゲワシは居るけれどもハゲタカという鳥類は世界のどこにも存在しない、と言うことを3ページに渡って書いているんですが、私自身も何の違和感も無しに「ハゲタカ」という日本語を受け入れていましたね。 「まるでハゲタカのように・・・」とは言うけど、「ハゲワシのように・・・」なんてことを言われたらやはり落ち着かないもんなあ。
そんな訳で、ちくま日本文学全集の開高健を開いてみたら栞代わりに挿んであったらしい、UAの古い搭乗券が出てきました。
シカゴのOhare空港から成田へのものです。
消えかけていたいた記憶をたどれば、私がシカゴへ行ったのはもう15〜6年も前のことです。 当時の私は、日本語ワープロソフトで世界制覇をもくろんでいた某ソフトウェア会社に居て、米国ソフトウェア市場の調査なんてのをしていたような気がします。 あの頃は、そんな誇大妄想に付き合うことにすっかりうんざりしていて、飛行機の中でまでこんな陰鬱で暗い作品集を読むような心境だったんでしょうね。 ま、ハゲタカさえも興味を示さないような会社だったんですけどね。
そのシカゴで記憶に残っていることと言えば、ホテルのレストランで興味本位で注文した「ミシガン湖産ナマズのムニエル」が予想通りの不味さだったことと、朝食に食べたエッグベネディクトとカナディアンベーコンが絶品だったことぐらいです。
それにしてもあの会社でのアメリカ出張は、仕事のことを除けば、これはもう嬉しいことばかりでしたねえ。
先ず、円高で1ドル80円くらいだったこと。
しかも、驚いたことに諸経費以外に出張手当というものがあって、なんとも信じられないようなお手当てが出るんです。
さらに、米国出張と言ってもそれほど忙しい訳でもなく、ボストン辺りの知り合いの米国人コンサルタントなんかに会って昼飯を食って、彼らが紹介してくれるソフト会社などを訪問すれば30ページ程度の調査レポートは簡単にでっち上げられたし、後は釣具店訪問とショッピングモールの冷やかし以外にはすることが有りませんでした。
出張のお手当てはたんまりと、しかも円で貰えるし、当時のアメリカの物価は円換算では極端に安かったし・・・と言う訳で、出張の度にずいぶんと釣竿やフライマテリアルを買い込んで帰ったものです。
ま、開高健の「流亡記」や「ベトナム戦記」などを読みながらも、それなりに古き良き時代だったような気もします。