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2003/12/08: "不況と釣りの関係"

井伏鱒二の「荻窪風土記」に、林房雄の言葉として面白いことが書いてありました。
昭和8年か9年ころの話だそうですが、林房雄は:
「今に大きな不況がやって来る。 不況になれば、釣が流行する。 俺は釣を勉強する。」と言って、海の大物釣りを始め、終戦直後には当時の金額で300万円ものクルーザーまで買ってしまったそうです。


左翼作家の林房雄が、日本全体が食糧難で苦しんでいる時に大金を払ってクルーザーを買うって話も可笑しいけど、「不況になれば、釣が流行する。」ってのも何だか変な感じです。

同じく、昭和8年ころの話として、佐藤垢石が東京都の釣り人口を調べたら50万人だったという話も出ていて、佐藤垢石によれば「(当時の)東京の釣人口は、東京の文学青年と同じ数の35万ぐらゐの筈だから、最近の失業者の急増による素人釣師の急増を思ひ合わせ、40万くらいだろう・・・」と推定していたんだそうです。
垢石さんは「これで東京の失業者の増加のしかたが想像できる。 満州出兵が日本を貧血にさせて行く」と嘆いているんですね。
ちなみに当時の東京都の人口は600万人強。 もし、佐藤垢石の出した数字が正しければ、人口の8.3%が釣師だったということになります。
もうひとつ、とても興味深かったのは文学青年が当時の東京には35万人も居たということ。 文学青年の定義が分かりませんが、井伏鱒二特有の皮肉、あるいは冗談だとしてもすごい数です。(文学青年の数と釣人の数を並べるのも可笑しいですが。)

それはそれとして、当時の失業者は余裕が有ったんですね。 最近は不況になると、釣具屋どころかパチンコ屋でさえ閑散としちゃうんじゃないですか?
この50万という数は、東京中の釣具屋の常連客の数から割り出したとのこと。 「常連客」が50万人。 しかもそのうちの15万人くらいは、どうやら失業者らしい。
私の理解では不況になれば釣師の数は減少するものだったんですが、減っているのはフライ人口だけで、釣全般としては増えてるんでしょうか。