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2004/09/03: "「おもいっきりテレビ」の嘘ではないにしても本当じゃない話"
「おもいっきりテレビ」という昼のテレビ番組あります。
みのもんたの司会で、毎回何かしら健康にいい食材を紹介していることで有名なんだそうですが、今日は私の住む山形県西川町の「健康に良くて、しかも長生きできる食材」を紹介していました。
81歳と90歳のお婆さんが登場して、西川町の体育館のような所で二人だけでダンスをします。
レポーターの女性アナウンサーが「華麗なステップですねえ。 どうしてこんなに元気なんですか?」などと話題を振ります。 二人のお婆さんは「六浄豆腐を食ってるから・・・。」みたいなことを答えます。
次は栽培山葡萄に肥料を撒いているお爺さんが出てきて、「コクワの汁を食べているから元気だ。」と言います。 お爺さんの奥さんも登場して、冷凍保存しておいたコクワの実を食べたりします。 健康にも肌にもいいんだそうです。 「コクワの汁」は大量のザラメ砂糖で3年間も漬け込み、果実からしみ出したシロップのような液体です。 これを薄めもせずに毎朝飲むんだそうです。
で、登場人物全員が風邪もひかなきゃ病気もしないと言います。
突然、どっかの大学の栄養学だか医学だかのセンセーと称するオッサンやオバサンが登場して、番組で紹介した食材の栄養価や効用についてしゃべります。 とても不自然で無理があります。 時には「食欲を増進します。」などと、とんでもないことを言ったりすることもあります。 世の中、食欲旺盛で困っている人の方が多いと思うんですが。
それはそれとして、山形県の西川町では「六浄(リクジョウと読むのかも知れません。)豆腐」や「コクワ(サルナシ)」を日常の食材として食べている人はほとんど居ません。 何人かは居るのかも知れませんが、極々少数だと思います。 少なくとも、一般的ではありません。
「六浄豆腐」は多量の塩をまぶした豆腐を陰干しにして、ハードタイプのチーズ程の硬さまで干し上げた保存食のようです。 「ようです。」というのは、いまだに実物を見たことがないからです。(町役場の特産品展示コーナーで見かけたことがあるような気もしますが。) 今では、岩根沢というところで一軒だけが製造しているとのことです。
コクワ(サルナシ)は野生のものもありますが、栽培されているものも多いようです。 ナツメほどの大きさで、キウイのような味がします。 蔓性ですし、多分キウイの仲間だと思いますが、果実の表面は光沢があります。
カビも生えないほど塩の強い豆腐やら数粒の葡萄の実ほどのコクワやらを毎日食ったからといって、特別健康にいいとも思えないのですが、もしかしたら年に2〜3度きり食べないから健康にいいのかも知れない、などと考え込んだりもします。
ちなみに、「六浄豆腐」の料理で番組に出ていたのは町に2軒ある山菜料理屋のうちの一軒でした。 ということは、一般的な家庭料理ではないということなんでしょう。
薄くスライスしたものをお吸い物にしたり、キクラゲなどと白和えにしたものなどを出していましたが、あの華麗なステップのお婆さんたちもダンスの練習帰りには料理屋に寄ってあんな料理を食ってるんでしょうね。
「家で嫁のまずい料理を食うよりは、こっちの方がずっと健康にいい。」などと言いながら・・・。
そう言えば、「西川町の全町民が食っている。」とか「西川町の一般家庭では日常的に食べている。」とか「西川町の人たちは皆元気で長寿だ。」などということは一言も言ってなかったなあ。
料理屋の主人と思しきオヤジも、レポーターの質問に対して「病気らしい病気はしない。」などと答えてましたが、その理由を「六浄豆腐」にあるとは言ってませんでした。 何だか胡散臭いですよね。
ま、少なくとも番組に登場したお婆さんたちやお爺さんだけは元気そうでした。