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2005/11/06: "釣に関する個人的な諸々のこと(7)"

Fishing1106 (66k image)

魚1匹当たりの対価を考えたら、釣ほど馬鹿らしいものはありません。 魚屋で買った方がはるかに安くて、新鮮で、美味しいものが手に入るはずです。 しかも、私の場合は自分で釣った魚を全く食べませんし、ほとんど持ち帰ることもありません。
遊びですから、コストパフォーマンスなどと言う概念を持ち込む方が間違いだとは思うのですが、釣具店などでは、時おり「このロッド(あるいはリール)はお買い得です。」といったセリフを聞くことがあります。 遊び道具に<お買い得>も無いもんですが、ついつい買ってしまったりします。 それで魚が沢山釣れて得をしたってことは一度も無いですね。

銀座のクラブで、ブランデー1杯当たりの値段を考えながら飲むヤツは居ないのと同様に、釣具の値段や旅費の合計を釣った魚の数で割り、1匹当たりの平均単価を計算しているような釣り人も居ないでしょう。 ボウズの時だってあるんですから。 (銀座のクラブでは、客の方は<Fishing>のつもりでも、逆に<Phishing>されてるんでしょうけど。)
先日、あるフライフィッシャーが「フライをやる人は金を惜しまない。」といった意味のことを言いました。 フライだけじゃないと思います。 餌釣りやテンカラ、ルアーだって金を惜しまずに使っているはずです。 <金に目がくらむ>などと言いいますが、釣をする人間は魚に目がくらんで金銭感覚が無くなるのかもしれません。
よく、日本の釣り人口は2,000万人だとか3,000万人だとか言われますが、本当に<金を惜しまない>釣り人口がそれほどの数だとしたら、ダイワもTIEMCOも六本木ヒルズ辺りにオフィスを構えていても決しておかしくはありません。 ところが、釣具業界は不景気で、倒産したメーカーや閉店した店の話も聞こえて来ます。
釣を趣味にして、継続的に釣に金をつぎ込む人って、世間で言われているよりはかなり少ないという事なんでしょう。

それはそれとして、とにかく釣は金のかかるアウトドアスポーツです。 へら竿なんて、1本100万円や200万円は当たり前だと言うし、その高価な釣具を持って釣に行けば、旅費だけでも10万円や20万円は簡単に消えてしまうし、それで10匹や20匹の魚が釣れたとしても、使った金額を考えれば馬鹿らしい限りです。 銀座のクラブで札びらを切るよりも、もっとむなしいかも知れません。
ヘラブナ釣りや鮎釣りに比べれば、フライフィッシングなんて安上がりなもんです。 少なくとも、道具の値段は2分の1、3分の1じゃないでしょうか? ミント状態のCascapediaだって、100万円もしないでしょ?
ただ、問題なのは、フライフィッシングのタックル類にはほとんど投資価値が無いということです。 ごく一部のロッドやリールには、20年か30年後にはそこそこの値段で取引されるものも出てくるようですが、それほどのものは既に元々の値段が高い訳ですから、30年後には大儲け・・・ということにはなりません。 つまり、資産価値も皆無だということになります。
馬鹿らしい限りではありますが、遊びなものですから、金をかければかけるほど面白さが増してくるという困った面もあります。 高価な道具が欲しい、遠くへ遠征したい、長期間の釣り旅行をしたい、ボートをチャーターしたい・・・しまいには釣りロッジが欲しい、と際限がありません。
釣に金をかけなくなったとしたら、釣に対する興味が無くなったと言うことだと思うのですが、そう言う意味から言えば、私の釣にかける情熱は盛期をとうに過ぎたような感じです。 ただ、気の合う仲間たちと湖岸に立ち、ボートに乗り、川に入って竿を振っていると、本当にいい時間を過ごしていることを実感します。 金額には関係が無くなります。 もともと、金はそんな時間を得るためのものなんだろうと思うし、そんな<いい時間>を持つことが<遊び>なんだろうと思います。
もっとも、大井沢のような所に住んでいれば、何も釣などに逃避しなくても、楽しく、忙しく、のんびりとした<いい時間>を持てちゃう訳ですが・・・。 そう言えば、大井沢の目の前の川ではもう何年も釣をしていないなあ。