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2008/08/01: "ゴルトベルク変奏曲を聴きながら最後の晩餐を読む。"
涼しいというよりも寒いほどの川風が吹き込んでくる居間で、キース・ジャレットの<ゴルトベルク変奏曲>を聴きながら読みかけの開高健<最後の晩餐>を読んでいると、これが実に快適なんですね。
キース・ジャレットの歯切れのいいバッハと開高健の芳醇にして濃厚、まったりとして濃密、絢爛にして爽快な文体とが絶妙に絡み合って邪魔し合うどころか、時には重く辛過ぎるような内容の話もすらすらと頭に入ってきます。
この<最後の晩餐>、書かれたのは1970年代の終わり、もう30年も前の本だと言うのに今読み返してみても少しも古くなくて、むしろエコだのスローだとのと喧しく言われるこの時代にこそ読むべき内容じゃないかと思えるほどです。
ビアフラの飢餓、アウシュビッツの極限、ソルジェニツィンの<収容所群島>・・・あるいは蚊の目玉の料理、鮭を徹底的に食う話から喫人にまで及んでいて、ただただ圧倒されるんですが、ペットフードの話ではちょっと考えさせられますね。
30年ほど前の日本では、年間4万8千トンのドッグフードが消費され、アメリカで263万トンだったと言うんです。 ちょっと気になって、現在の日本はどうなってるんだろうと思ったら、犬猫用を合わせればどうやら100万トン以上のペットフードが消費されているらしい。 100万トンがどれほどの量なのかイメージが湧いて来ないのですが、最近の国内産鶏肉、豚肉それぞれの年間生産量に匹敵する数字のようです。
ビアフラの話の中にこんな数字をはめ込まれてしまうと、いくら感性の鈍い私でもほんの少しなんですが心が痛みます。
だからと言って我が家の犬のドッグフードを減らすかと言えば、それはまた別の話になってしまったりするんですけどね。