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2008/09/17: "イナゴを食う。"
妻が朝露に濡れながら近くの田の畦で取ってきたイナゴを佃煮にしています。
山形のスーパーストアに行くと、ほぼ1年中、中国産のイナゴの佃煮を買うことができます。 でも、最近流行のメタミドホス米を食って育ったイナゴかも知れません。
イナゴを煮ながら、いつも「人間はどれほどの昆虫を食っているんだろう。」という疑問と興味が沸きます。
私が子供の頃は、イナゴの他にも蜂の子や腐った木の根の中などに居るカミキリムシの幼虫も食べた記憶があります。
長野県の伊那地方出身の人の話では、有名なザザ虫(トビケラの幼虫)の他にも蚕のサナギや成虫も食べたと言います。
アメリカの文化人類学者Marvin Harrisの「Good to Eat」(邦訳は「食と文化の謎」)を見ると、昆虫食を極端に嫌っているのはどうやらヨーロッパ人とその子孫の現代アメリカ人だけで、アメリカ先住民は好んで蜂の子や蟻、ガガンボ、ガ、イナゴなども食べたらしい。 南米の先住民の中には20種以上もの昆虫を食べている人たちも居るそうです。
中国では最近まで蚕のサナギ、セミ、コオロギ、カメムシ、ゴキブリなどを食べていたとのことだし、東南アジアのいくつかの国々でもオオタガメ、蜘蛛、バッタ、シロアリ、ゴキブリの卵、さらにはサソリまでも食っているらしいし、アテネではセミもバッタも食っていて、アリストテレスによれば「セミは脱皮前のサナギが最高で、成虫になってからは卵の詰まった雌が旨い。」んだそうです。
現代のユダヤ料理にイナゴが含まれているかどうか知らないけど、少なくとも洗礼者ヨハネはイナゴと蜂蜜だけで荒野を生き抜いたんだそうですから、豚肉や鱗の無い魚のようにタブー視はされてないんじゃないかなあ。
で、なぜヨーロッパ人は昆虫食を嫌悪するかというと、身近なところに大型あるいは群居性で効率よく採取できる昆虫類が少なかったことと、野生の大型脊椎動物あるいは飼育脊椎動物が多かったせいだろう・・・って言うんです。 しかし、アフリカなんて大型脊椎動物の宝庫なんだから、シロアリなんて食わなくても良さそうなのに、とも思うんですけどね。 もっとも、アフリカの大型脊椎動物は獰猛で、しかも敏捷なものが多いから、人間の方が彼らの犠牲や食料になる可能性の方が高いのかも知れません。