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2003/10/25: "うら寂しき「サライ」"
今朝の朝日新聞は「日テレ社員、視聴率買収」ってわけで、まるで鬼の首でも取ったような大はしゃぎ。
テレビ局が視聴率にこだわろうが、企業の広告担当者が腹を立てようが、ま、こちとらには関係のないことで、ついつい、「朝日さん、相手がテレ朝でも、やっぱり大はしゃぎするの?」などと突っ込みたくなります。
そんなことはどうでもいいんですが、病院の待合室に置かれていた「サライ」と言う雑誌があまりにも悲しく、うら寂しいので有楽町のガード下か烏森の裏通りでビールのケースに腰を下ろし、もつ焼きで一杯みたいな雰囲気になってしまいました。
「サライ」という雑誌をご存知ですか?
小学館からバイウイークリーで発行されているトシヨリ向けらしい雑誌なんですが、存在は知っていましたが読んだのは初めてです。 そう言えば、寒河江市の社会保険事務所の待合室にも置いてありました。
最新号の特集は「江戸か上方か 老舗の「鍋」勝負」、別冊付録が「潮騒と名刹の古都 2泊3日でぶらり、鎌倉」。
鎌倉には興味が無かったのですが、「鍋」に釣られて手にとってしまいました。
狙っている読者層が見え見え、実に分かりやすいのですが、それが返って浅薄で、貧相で、うら寂しく、生活苦までも連想させられて悲しくなるほどです。 かなり無神経で品性下劣な連中が編集してるんでしょう。
記事も広告も、見事に「いかにも・・・。」と言った雰囲気で統一されていて、それはそれでこの手の情報誌の王道なんでしょうが、人の弱みに付け込んだイヤーな雰囲気の雑誌です。
この雑誌から嫌味、うら寂しさ、貧しさ、下品さ、悲しみ・・・などを感じ取ってしまうのは、私自身がまさにこの雑誌が狙っているターゲットそのものだからなんだと思います。(余計に腹が立ちますけどね。)
ここで紹介されている食い物の老舗、うまい物、贅沢なもの、名所旧跡、車、カメラ、オーデイオ、高級時計・・・その他諸々は、本当は全てリタイアする前に経験していてもいいことばかりで、いや、経験してしまっているべきで、リタイアしてからは「サライ」に掲載されているようなことはどうでもいいことになっているべきで、しかし人生の大部分を我慢して我慢して過ごし、やっと仕事から解放されたと思ったら金も体力も残っていなくて、結果は病院の待合室や社会保険事務所で「サライ」を読む・・・。
でも、この雑誌の記事を読んで、夢をふくらませている人たちも結構居るんだろうけど、それも何だか、新品の登山用具に身を固めて東京駅のホームで盛り上がっている熟年の団体を見ているような、そんなちぐはぐな居心地の悪い感じがします。
今夜は、ひとり有楽町ガード下の焼き鳥屋で冷酒でも飲みたい気分です。
(という訳で、天童から新幹線に乗って、有楽町ガード下まで。 「サライ」だなあ・・・。)