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2005/01/07: "Tons of CDC・・・で、CDCって何だっけ?"
朝からまるでCDCをぶちまけたような雪です。 これが雨だったらドシャ降りということになるのでしょうか、ドシャ降りの雪を表現する決まり文句はあるんでしょうか。 今日の様にふわふわとしたボタン雪は、比較的気温が高い日に降るようです。 外は0℃前後、湿った重い雪です。
CDCは釣りに使う毛針の素材です。 カモ類の羽毛なのですが、名前の由来など気にもせずに使っていました。
ある時、ふと気になって調べたことがあります。
当然のことながら、まずは英語の辞書を引いてみました。 英和辞書には載っていません。 CODにも見当たりません。
西山徹さんの「フライフィッシング用語がわかる本」にも出ていません。 Oxford University Pressの「A Dictionary of Fly-Fishing」にも無く、Silvio Calabiの「Encyclopedia of Fly-Fishing」でも駄目です。(これにはCFOがCharles F. Orivsのイニシャルだと言うことが出ていましたが。)
佐藤成史さんの「The Flies Part3 CDCパターンとイマージング・パターン」を開くと、CDCはフランス語で「Cal de Canard」、つまり「鴨のお尻」の頭文字から来ていると書いてあります。 そこで、GallimardのPetit LittreとLarousseのFrancais-Anglais、それに旺文社のComprehensive English-Japanese Dictionaryで「cal」を引いて見ると、どうも意味が違うよう様です。
期待もせずに、「The Fly Tier's Benchside Reference to Technique and Dressing Styles」(Frank Amato Publications)を覗いたら、なんと「"cul de canard" or "CDC"」とありました。 つまり、「oil gland feather」のことだと言うんです。
さらに「The Complete Fly-Fisher's Handbook」(Dorling Kindersley)には、Cul de Canardはduck's bottomのことだけど、解剖学的にはCroupion de Canard、つまりduck's rumpが正しくて、「preen gland」の辺りの羽毛だと出ています。 どうやら、「cal」ではなくて「cul」らしい。 再度、Larousseに戻って見ると、ちゃんと「cul=rump」、「croupion=rump (d'oiseau)」と出ていました。
要するに鴨の尻にある脂肪腺のことだった訳です。 たまに焼鳥屋などで見かける鶏の尾羽の下にある三角形の脂肪の塊みたいなヤツのことなんでしょう。
ここまでたどり着くためにずいぶんと沢山の本や辞書を引っ張り出してしまったので、後で本棚に戻すのが大変でしたけど、かなり興味深い作業ではありました。 いやあ、フライフィッシングって、釣りをしなくても結構楽しめるものですね。 ついでにpreenやglandなんて英語まで覚えてしまいました。
(ちなみに、「Rare and Unusual Fly Tying Materials Vol.1-Birds」には特にCDCに関する記載は見当たりません。)