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2005/01/20: "ITと作業記憶廃用萎縮の関係"
受信料を払っているので、もったいないからNHKの教育テレビを見ていたら、京都大学霊長類研究所の正高教授と言う方が面白い話をしていました。
いわゆる「キレる」という現象がなぜ起きるのか、と言うのがテーマの話だったようですが、番組を途中から見たものですからその辺のことはよく理解できませんでした。 ただ、ITの普及が「キレる」につながっていると言うんです。
彼が言うには、人間が何らかの行動を起こすには視覚からの情報と聴覚からの情報を総合的に分析した上で決断するとのことです。 しかし、ITの普及によって人間が得る情報は視覚(イメージ)的なものに偏ってきていて、聴覚(言語)による情報取得が極めて少なくなっているんだそうです。
聴覚あるいは言語による情報量が少なくなると、言語を使った思考能力が退化して行動が短絡的、動物的なものになってしまうと言うんです。
また、ITの普及は人間が脳の中に蓄積すべき記憶を外部記憶装置に置いてしまうものだから、作業記憶(Working Memory)の廃用萎縮にもつながっていると言います。
これだけじゃ何が何だか分からないかもしれませんが、正高先生の話そのものは丁寧で分かりやすく、すっかり納得してしまいました。
確かに文章を書かない、読まないという傾向は強くなっているような気もするし、携帯電話を電話帳代わりにしてしまっていて友人や知人の電話番号でさえもほとんど覚えていないし、言語思考と記憶機能は退化しつつあるのかも知れません。 ユビキタス・コンピューテイングなんて、良い事ばかりでは無さそうです。
この正高先生の番組は面白そうです。 彼が書いたものにも興味があります。
全く関係が無いのですが、藤沢周平の「用心棒日月抄」シリーズは良くありません。 眠くなって寝床に入ったのに、何の気なしに読み始めたりすると明け方になっていたりします。 と言う訳で、「図説ケルト」(サイモン・ジェームス 東京書籍)なる本を読み始めました。 これはいいですね。 すごく面白い本なのですが、すぐに眠くなります。