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2008/04/28: "嘉則さんちのホースラディッシュ"
徳本さん行きつけの牛込柳町辺りの某飲み屋さんでは、「北海道の白わさび」と呼んでいたように記憶しているんだけど、これを摩り下ろして炊き立てのご飯にもみ海苔と一緒にたっぷりと乗せ、醤油をかけ回し、よくかき混ぜてかき込むのが締めの定番になっていて、その旨さと言ったら病み付きになります。
そんな話を何かの機会に根子の嘉則さんに話したら、つい先日、「根わさびが掘り頃だから取りに来い。」とのこと。
喜び勇んで貰いに行ったら、雪が解けたばかりの道路際の畑に無造作に顔をだしているのを、スコップで無造作に掘り起こして、無造作に「こんなもんでいいか?」と渡してくれました。 もちろん十二分でございます。
北海道標津町の「さわ」でも、秋刀魚だったか鯨だったか忘れてしまいましたが、刺身の薬味として山葵代わりに出されたことがあります。 「白わさびですか?」との質問に、「さわ」のご主人は「この辺では根わさびって言うね。」と答えてくれたような気がします。 北海道ではほぼ野生化していて何処にでもあるんだそうです。
私はこれはいわゆる「horseradish」だとばかり思っていたのですが、最近になって白わさび、根わさび、山わさび、畑わさび、わさび大根、そしてホースラディッシュが同一のものなのか、それともそれぞれ別種のものなのか分からなくなっていました。
嘉則さんにいただいたのを機に、ちょっと調べてみましたが、頼りの小学館「食材図典」には載っていません。 そこで、旺文社のComprehensive English-Japanese Dictionaryで「horseradish」を引いてみると「西洋わさび」と出ています。
もう、これはWikipediaきりありませんね。
私の思い込みは間違っていなかったようです。
horseradishを西洋わさびと呼んでいて、それを本わさびと区別するために山わさびになったり畑わさびになったりしただけのことでした。 北海道ではごくありふれたものになっているせいか、蝦夷わさびという呼び方もあるんだそうです。 ただ、「白わさび」という呼称はどこにもありません。 牛込柳町辺りの方言かも知れませんね。
昔、東京でもこのホースラディシュがまだ珍しかったころ、確実に売っているのは青山の紀ノ国屋か六本木の明治屋くらいのもので、しかもずいぶんと高価なものでした。 今ではかなり安く買えるようですが、当時は直径4〜5cm、長さ10cmほどのもので1,000円前後だったと思います。
とにかく、私はこれが大好きで、大井沢に越してきてからはわざわざ東京の娘たちに頼んで送ってもらっていました。 ローストビーフはもちろんですがステーキと合わせてもいいし、ローストラムレッグの薄切りと合わせればこれはもう絶句、無言、至福、感涙・・・てなもんですね。
そう言えば、青山の「おかだ」で出してくれる牛肉の炭火焼を山葵(普通の山葵です。)で食うのも絶品です。 ただ、オヤジさんに見つかると怒鳴られそうなので、いつも刺身の山葵を残しておいてこっそりと食うことにしてますけどね。