[前の記事: "大井沢水没"] [新着記事一覧に戻る] [次の記事: "栃の実、はしばみ、梅雨明け"]
2005/08/03: "1時間労働、8時間読書"
最高気温30℃など、都会の人々にとっては涼しい方なんでしょうが、私にとっては酷暑です。
夕方、日がかげった頃を見計らって外に出て行きます。 その頃には少しは気温が下がっているはずなのに、ワークブーツの紐を締めているだけで汗が吹き出てきます。 軒下の薪片付けを10分もしているとシャツはもちろんのことズボンから靴下までが汗で濡れます。
そんな訳で、肉体労働は1時間から2時間で終わり、あとは風の通る場所を探し回りながら本ばかり読んでます。 何の脈絡も無く、昨日から写真の3冊を平行して読みました。
<図説 アジア文字入門>:インド系文字、アラビア文字、漢字と漢字系文字などの歴史と解説です。 小学校高学年から中学生辺りを読者対象にしているらしく、ちょっと物足りないのですが文字に関して持っていた曖昧な知識を整理するにはとても分かりやすくて面白い本です。 「1 2 3・・・」はアラビア数字と呼ばれているけどアラビア文字ではなくてヨーロッパ文字で、アラビアではこれを<インド数字>と呼んでいるとか、卒塔婆などに書かれている梵字はアショーカ王が制定した<ブラーフミー文字>に発しているなんてことまで分かっちゃいます。 それに漢字から変化した西夏文字の画数には圧倒されます。 北京で見られる<麦当労>や<肯徳基>の看板の写真が出ていました。 前者はハンバーガーショップ、後者はフライドチキン。
<文化麺類学ことはじめ>:石毛直道著の<世界初の画期的麺類学大全>。 世界中の麺類、パスタ類の歴史や特徴を体系的に網羅しています。 イタリアに麺を伝えたのはマルコ・ポーロじゃないそうです。
<本が好き、悪口言うのはもっと好き>:この高島俊男という人は中国文学の研究者らしいけど、辛らつ、痛烈、抱腹絶倒(でもないかな)、納得、時に目からウロコ、とにかく面白い。 「もし、漢語と漢字が入って来なかったら、日本語は健全に成熟して、やがて日本語の生理にあった表記体系を生み出していただろう。」なんて、<アジア文字入門>の後に読むと完全に理解できます。
日本語は漢語を始め、明治以降にはヨーロッパ語などの外来語を取り入れ過ぎて未成熟なまま成長が止まってしまったんだそうです。 最近のIT関連カタカナ語、ローマ字略語の氾濫を見ると、成長が止まったどころか日本語は明らかに退化しています。 さて、その退化現象がいいことなのか、あるいは良くないことなのか、どうも判断できずにいます。
この3冊の内容が、中国を接点にかなりの部分で重なり合っていて、偶然なんですが面白さの相乗効果が生まれました。 こういう読み方も有ったんですね。 新発見です。 池波正太郎の剣客商売、鬼平犯科帳、おとこの秘図なんてのを同時平行で読んだらどうなっちゃうんだろう・・・面白くも何ともないんだろうなあ。