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2007/02/19: "売り手市場で意欲減退?"
知人からの最近のメールに、「大企業の採用枠が広くなって、一時期に比べると若い人たちの間の起業意欲がなくなってきている。」とありました。
新聞でもテレビでも、今年の大卒の就職状況は売り手市場になっていると報じています。
就職が楽になった途端に起業熱が冷めてしまう、というのも変な話です。
そう言えば、まるでお祭騒ぎだった「ビット・ヴァレー」なるものはどうなったんだろう? 最近は全く噂を聞かなくなりました。
若い連中が雨後の筍のように起業を目指したのは、就職できなかったり、無能で会社を首になったりしたのが理由だったんだろうか?
どうも、そうだったらしい。
IT、インターネット、モバイル、コミュニケーション、コンテンツ、XML、データ互換・・・なんて言葉をごった煮にしたビジネスプランで金が集まり、濡れ手に粟のように金が儲かると思い込んでいた連中がほとんどだった様な気もするし、実際、それで金集めに成功した連中も居たりして、馬鹿なヤツほど浮かれていたような気もします。
要するに、フリーターもニートも引き篭もりも、起業家を気取ろうとした連中の多くも動機は似たようなもんだったんじゃないかと思います。
「やりたいことが無い。 見つからない。 だから就職しない。 でも、好きなことだけをやりたいようにやって、楽にカッコよく金が儲かるんだったら仕事をしてもいい。」などと考えている連中が20年、30年前よりも増えてきてるんじゃないでしょうか。 いや、20〜30年前だって、100年前だって、そんな風に考えていた連中の方が多かったに違いありませんが、そのころの連中の方が人生を諦めたり割り切ったりするのが早くて簡単だったんでしょうね。
若い人たちの中には、ただ漠然と夢を追っているだけで、具体的な目的も目標も無いし、才能も知識も感性も無いくせに、自分には何か知らないけど一流になるだけの能力があるし、少なくとも周囲の馬鹿どもよりは有能だと思い込んでいる連中も居るらしい。 しかも、その勘違いや思い込みには何の根拠もなくて、ただ単に周囲の人たちを蔑んで馬鹿にすることで自分の気持ちを誤魔化しているだけなんですが、それさえも本人は認めたくないし、それに気付くのが怖いんです。
で、そんな連中がフリーターだったり、ニートだったりするんでしょうけど、そんな連中に「再チャレンジ」なんてことは有り得ません。 それは未婚の人が再婚するようなものです。
そんな訳で、起業熱の冷め具合も分かってしまったような気分なんだけど、違ってますかね。
多分、日本人の精神風土には「開拓」とか「独立」とか「賭ける」とか「自立」などという雰囲気は希薄なんでしょう。
やっぱし、よらば大樹の陰でしょう。 もっとも、大樹だって落雷や突風で倒れることもあるし、やっぱ、引き篭もってるきりないか・・・。