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2004/06/06: "波、図書、ちくま・・・"

好天が続いていて、妻は枝豆の苗を畑に植え付けています。
昨日、釣りの帰りに山形市の新田さんのお宅に寄り、ついでに「八文字屋」という大きな書店を覗きました。
本屋、特に大きな本屋は好きです。 何かしら面白いものがあります。

妻に頼まれていた「やさい畑」(家の光協会)という雑誌が大量に平積みされていて、どうやらこんな雑誌がかなり売れているらしいことが分かります。
レジのカウンターに新潮社の「波」、岩波書店の「図書」と「読書のすすめ」があり、店員の女性が「どうぞ。」と薦めてくれました。 もちろん無料なんですが、「波」と「図書」には定価(どちらも100円)が付いています。 要するに、市販の月刊誌扱いなんですが、筑摩書房の「ちくま」も同様に各出版社のPR誌のようなものです。
(新潮社が「波」を発行してるんだから、岩波は「潮」でも出せばいいのにと思っても「潮」って名の宗教専門誌がすでにありましたね。)

学生のころからこの手のPR誌が好きで、最新号を本屋でもらうのが楽しみでした。 内容はどれも作家や文芸評論家などの雑文が中心で面白いものもあればつまらないものもありなんですが、言ってみればとても「Blog的」ではあります。
さらに、これらのPR誌の大きな魅力は新刊案内や発行元の出版社以外の刊行物の広告にあります。
例えば新潮社の「波」(2004/6月号)には岩波、三省堂、読売を始め筑摩書房、朝日、文芸春秋等々各社の出版物の広告が掲載されています。 これが結構面白そうで、しかもかなり参考になります。
「図書」や「ちくま」も同様で、「図書」には光村図書出版から刊行予定の「犬のため息 ベスト・エッセイ2004」なる本の紹介記事まで載っています。

「図書」に「読者が選ぶ<私の好きな岩波文庫>」に関する佐藤正午の文章が載っていました。 中勘助の「銀の匙」が漱石の「こころ」、「坊ちゃん」に続いて3位に入っていることとこの本での中勘助の文体について書いているのですが、それはそれとして私としてもやはり「銀の匙」が3位というところに興味が行ってしまいます。
私がこの本を読んだのは中学生の頃で、多分今も私の本棚のどこかには古い岩波文庫が残っているはずなんですが、あれは中高生の読み物だとばかり思っていました。 今でもそう思っていて、その後は全く読み返したことがありません。
内容は意外に鮮明に覚えているんですが、タイトルそのものがひどく気恥ずかしいし、今さら隣のおけいちゃんとのほのぼの交友話を読むのも何だかグロテスクな感じです。
この「読者が選ぶ・・・」に投票した人たちの年齢層がどの辺りなのか知りませんが、漱石の「こころ」が1位だったりするところを見ると中高年世代が中心であることは想像できます。

以前、この「八文字屋」を覗いた折に岩波文庫コーナーの上段に並べられた<私が好きな岩波文庫>の背文字を見て、いかにも旧かなづかい的な本ばかりなのに驚いた記憶があります。 やっぱりトップは漱石なんですかねえ・・・「こころ」ですか・・・。 そして3位が「銀の匙」・・・。
いまだにこんな本が上位に来るってことはつまり最近の中高年は本も読まずにテレビばっかり見てるんだろうなあ。
岩波文庫そのものが古いってこともあるんでしょうけど。(堀辰雄でも読んでみようか・・・なんてふと思っただけで寒気がして来たので丸谷才一の「ゴシップ的日本語論」にします。 もちろん「銀の匙」も「美しい村」も、「風立ちぬ」だって嫌いじゃないんですけどね。)
で、何を言いたかったかといえば「いまさら<銀の匙>?」ってことでかなり驚いたり不思議だったりしたってことなんです。 「三太郎の日記」と同じくらいに過去の本だと思い込んでいたものですから。