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2005/07/05: "Courgette or Zucchini? ズッキーニはマイナーな野菜?"
妻の畑ではズッキーニが元気はつらつ、次々に実を付け始めました。
ロビュションの料理本にも、大量に出回るズッキーニをどうやって食うか、アイディアが尽きてしまう、といったようなことが書いてあります。
そのロビュションの本に、<Courgettes Frites>という料理が出ています。 どうやらズッキーニのフライらしい。
そこでcourgetteを調べてみると、手元にあるPetit LittreにもLarousseにもそんな単語は出ていません。 Googleで検索すると、英語でもcourgetteと呼ぶようなことが出ています。 ところが、私のCODや研究社、旺文社の英和辞書にはそんな単語は見当たりません。
こうなると、どうも気になってしかたがありません。
小学館の<食材図典>を開いたら、フランス語ではカボチャをcourgeと言う事が分かりました。 しかし、Petit Littreではcourgeを瓜科の総称としています。 LarousseのFrancais-Anglaisにはcourgeは英語のgourd(瓢箪、へちま等)と出ています。 同じLarousseのAnglais-Francaisでpumpkinを調べるとpotironのこととあります。 PotironをPetit Littreで引くとgrosse citrouilleの一種なんだそうです。
堂々巡りです。
広辞苑にもズッキーニは見当たりません。 三省堂の大辞林を開いて、やっと「ズッキーニ(イタリア Zucchini) カボチャの一種、北アメリカ南部・メキシコ原産・・・云々>の説明を見つけました。
一時間近くも散々調べまくって、最終的に得た知識は最初から知っていたことだけで、結局、<courgette>も<zucchini>も、欧米では辞書に載るまでには至っていない野菜、つまりまだまだ食材としてはマイナーな存在なのではないかという疑問だけでした。
ところが、大井沢ではまだ2年か3年の歴史なんですが、あっと言う間に定着したようです。 天ぷらにするんだそうです。 なるほど。 ズッキーニの特性を的確に捉えているようです。 イタリアでもスペインでも、ズッキーニの調理には必ずと言ってもいいほど、オリーブオイルを使いますし、 ロビュションのメニューもピーナッツオイルでのフライです。
引っ張り出した辞書類を本棚に戻さなくてはなりません。 役にも立たないことを調べまくって、結局は何の役にも立たず、後悔しています。 料理業界用語は一般に使われている言葉とは違うのかも知れません。 イギリスの料理人がcourgetteなどという名詞を使っているとすれば、フランス料理に対する劣等感と憧れに原因があるんだと思います。 カタカナ英語を頻用する日本人と同じです。
と言うことで、私も今夜は気取ってオシャレに<Courgette Frites>です。