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2007/12/02: "作家論、あるいは食い物の本"

Books1201 (63k image)
ドナルド・キーンの作家論はもちろん日本の近代文学史に基づいた正当のもので、納得、目からうろこの連続でもある訳だけど、嵐山光三郎による「文人暴食」(マガジンハウス)は明治以降の文人、作家たちを彼らの食生活や嗜好を通して見ることによって、作品から見る作家たちとはまた違った姿が見えてきてとても興味深いものがあります。
例えば、小泉八雲や折口信夫、横光利一などの食生活や好物なんて考えても見ませんでしたね。
この本を面白がって読んでいたら、今朝の朝日新聞の読書欄に「食通小説の記号学」(真鍋正宏、 双文社出版)という本が紹介されていて、無性に内容を覗いて見たくなっています。 (食通小説? そんなもん有るの?)

食い物の味について書いている作家は多いけど、これは文章の練習、表現力の訓練でもあるらしく、旨いものがどんな風に旨かったかを正確に読者に伝えるためには極めて高度な感性と技術が必要らしい。
自分の本棚に目をやると、自分でも嫌になるほど食い物に関する本が積んであります。 200〜300冊はありそうです。 私の手元にさえこれだけの本なんですから「食」に関係した本の種類たるや小説の次くらいに多いのかも知れません。 それだけ人は食うことに興味を持っているということなんでしょう。
でも、読んでいて面白くてしかも食欲をそそられる本は少ないですね。
人それぞれの好みもあるだろうけど、池波正太郎の書くものはあまり面白くもないし旨そうにも感じません。 吉田健一、丸谷才一などの書くものはとても美味しそうなんだけど、中でも開高健の食い物話は食欲をそそります。 開高健が書くとどんなゲテモノでも食って見てもいいような気になります。
文豪谷崎も食い物については色々と書いているようだけど、意外に食欲をそそりません。 彼の場合は関西の食い物にこだわっている面があるので、どうやら東北出身の私とは嗜好や趣味が合わないんでしょうね。 谷崎だって東京生まれの東京育ちなんだから本当は関東の食い物が口に合っていたんじゃないかなあ。
もっとも、東京では谷崎に奥さんを盗られた(と言うのは私の記憶違いで、全く逆です。)佐藤春夫が秋刀魚を食いながら泣いてるし、「食味で見れば関西は上国、関東は下国」なんてことを言いたくなる気持ちも分かります。