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2005/10/24: "釣に関する個人的な諸々のこと(5)   "

Reel (93k image)

釣り関連のコレクションで、本命中の本命といえば釣り道具、それも竹竿とアンティークリールに尽きるんでしょう。
清くも美しくもないけど、極めて貧しいフライフィッシャーである私の場合は、釣り道具のコレクションなんて夢のまた夢、それに幸か不幸か、それほどのコレクション趣味も持ち合わせてはおりません。

釣はしないのに、貴重で高価なフライロッドを収集しまくっているお医者さんのことを聞いたことがあります。
この方の場合は、実に真っ当なコレクターと言えますね。  釣り道具としてよりも、釣竿そのものに美しさや面白さをみつけているんでしょう。 絵を描かないのに絵を集めているのと同じです。(同じじゃないかな? ま、いいや。)
ただ、こんな人たちのせいで日本市場に於けるアンティークロッドの値段が異様に高騰し、アメリカの一部の竹竿職人から「日本人には売らない。」なんてことまで言われてしまうようになった気がします。

それはそれとして、単純に機能や耐久性だけをとってみれば、最新技術から生み出されるグラファイト素材の釣竿やチタン合金のリールなどの方が30年も40年も前の名作、傑作などよりは100倍も優れいるはずです。
それでも、何故、あえて性能が劣る上に値段は3倍も4倍もするような竹の釣竿を使うのか? 人によって、理由は様々なんでしょうが、私個人の場合は、釣が遊びで、その遊びにさらに遊びを加えて見たいというだけの話です。
性能、使いやすさ、耐久性に優れて、しかもコストパフォーマンスの高いグラファイトロッドばかりを使っていると、釣という遊びに飽きが来て、何とはなしに潤いが無くなって行くような、そんな感じになるときがあります。
どんな遊びでも、たまには贅沢な遊びをしたくなるときがあります。 いつもは有楽町のガード下で、ビールのケースに腰掛けて飲んでるけど、たまには贅沢に新橋の焼き鳥屋にでも行こうか・・・ってなもんでしょうか。(これも、あんまり変わりが無いか。)

そんな訳で、バンブーロッドを振り回したりしていると、ろくに魚は釣れなくても、なんだいつもの遊びとは違うような気分になってきます。 いつもいつもレナードやハウェルズ、ロン・キューシーやウジニッキなんてのばかり使っている人には分かってもらえないことなんでしょうけど、たまに使うOrvisのバンブーなんて、私に取っちゃ贅沢の極みでして、新橋を通り越して赤坂まで来ちゃった・・・くらいの気分になります。 赤坂の方が単に高いだけで、酒も食物もひどく不味かったりもするんですが。
バブルの頃、フライフィッシング用のバンブーロッドと称される竹竿が異様に高値だった時期があります。 あるいは、今でもそうなのかも知れませんが、評判の職人の手による傑作はもちろんのこと、その辺の駆け出しが作った竹竿でさえも冗談みたいな値段で売られていたものです。 それでも売れていたんです。 (それで、すっかり舞い上がってしまって、いまだに現実が理解できないでいる職人さんたちも居るようですけど、これも一種の認知症と見るべきでしょう。)
その頃は地価や株価と同様に竹竿の値段までもが右肩上がりに上がるものだと思われていました。 釣り道具が投資の対象のように売り買いされた傾向もあります。
しかし、少し冷静になって考えてみれば、竹竿の良し悪しなんて、10年も20年も使って見なければ評価が決まらないものだし、一人や二人が使っても分からないものだし、かと言って20年も使われた道具がそれ以降も同じ性能を発揮し続けるとも思えない訳で、そう言う意味から言っても、上記の釣をしないお医者さんの方が、コレクターとしては正しい道を歩いているんじゃないかと思います。

とは言っても、高価なバンブーロッドに高価なリールを付け、まだ荒らされていない渓流でじっくりと魚を狙う・・・今日は思うように釣れなかったから、明日の朝にでも、もう一度・・・贅沢な時間がゆったりと流れているような気分になりませんか? これが遊びというもんでしょう。
遊びの極めて重要なキーワードとしては、やはり「贅沢」を加えない訳には行かないでしょう。
とは言いながらも、もちろん、私の場合はいつもいつも清貧のフライフィッシングを心がけている訳でして・・・。
などと言いながらも、家に居てヤマメとのやり取りを想像しながら、見事な造りのバンブーロッドを眺め、手にしたロッドの持ち重りを楽しみ、ボグダンのクリック音に聞き惚れるというのも釣りのもうひとつの楽しさでもあり、気に入った道具を持っている喜びでもあります。
それに、気に入ったものを見つけたときの所有欲と言うやつはとてもやっかいで、それは恋愛にも似た感情であって、そう簡単にふっ切れるものではありません。 このロッドが買えたら、もう後は要らない・・・などと思いながらも、すぐに次のロッドが欲しくなるところも、どこか恋愛に似ているかも知れません。 その辺のことは良く分からないのですが・・・。