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2005/10/20: "釣に関する個人的な諸々のこと(4)"
フライ・フィッシャーと言う人種ほど残虐なハンターは居ないかもしれない。
魚を釣るという行為に加えて、毛鉤のためだけに希少動物を含む実に多種多様な鳥獣を殺してきているんです。
もちろん、食べるために殺した鳥獣の、副産物としての羽や毛を利用したり、落ちている鳥の羽を拾って毛鉤に巻いたりということもあったかも知れません。 しかし、私の手元にある多数の鳥類の羽や羽毛、そして獣皮の類はほとんどが毛鉤の材料として養殖されたか殺された動物のものばかりです。
<Rare and Unusual Fly Tying Materials: A Natural History (Vol.1-Birds, Vol.2-Birds and Mammals)>という本があります。 実に美しい本ですが、同時に極めて残虐な本です。
この本を見ていると、フライ・フィッシャーというよりもフライ・フィッシングのそのものが持っている罪深さを感じないではいられません。 ヒクイドリ、ゴクラクチョウ、ペンギン、コンドル、オーム、カワセミ・・・兎、狼、豹、ライオン、白熊、アザラシ、鹿、猿、モグラ・・・。 よくもまあ、こんなものまで・・・と、自分の立場も忘れて、呆れてしまうほどです。
私は毛鉤用の素材類を、妻のお下がりの整理箪笥に入れています。 高さ140cm、幅90cmの箪笥の中にはどれほどの鳥や獣の命が詰まっているんだろう、などと考えてしまうと、空恐ろしくならないでもありません。
貴重な魚類の保護にキャッチ&リリースを・・・なんて言いながらも、やってる事は鳥獣の殺戮行為? ん〜、自己矛盾だなあ。 かと言って、フライを止めて餌釣りを始める気なんてのも全く無いんですが。
(釣り針で魚を引っかけるというのも残酷と言えば残酷ですが、末広恭雄さんによれば、魚の口の周辺には痛点がほとんど無いんだそうです。 しかし、体のその他の部分には沢山の痛点があるので、生き作りで供される鯛などは痛くて死にそうなはずだとのこと。 生き作りの刺身は食わないことにしています。)